みなさんはキャンプのギアをどう選びますか。ネットに情報があふれる時代、無数のレビューを見比べて、とりあえず無難なものを購入していた筆者。いつしか実物を手に取って選ぶ機会も少なくなりました。
そんな折、何気なく立ち寄ったのが個人経営のアウトドアショップ。選りすぐりのギアや珍しいガレージブランドなど奥深い世界が広がっていました。
ネットや量販店とは一味違う魅力を放つショップを巡る連載「ふらっとショップ探訪」。第9回は、熊本市八代市にあるキャンプ用品店「Skill of the Earth(スキル・オブ・ザ・アース)」を紹介します。
遊び心あふれる秘密基地のようなお店
八代市郊外の田畑が広がるエリアにたたずむ「Skill of the Earth」。自宅の庭にあるガレージをDIYで手を加え、2020年11月にオープンしました。店で扱うキャンプギアはブッシュクラフト系から米軍仕様の”ホンモノ”まで様々。シンプルながら機能性のある無骨なギアが多い印象です。
自然豊かな同市で生まれ育ったという店主の吉村公助さん(40)。幼少期には親戚たちと川遊びに明け暮れていたそう。当時、たまり場になっていたという秘密基地をイメージしただけに、大人がワクワクするような遊び心あふれる雰囲気が漂います。
ガレージの中央には吉村さんの愛車・イントルーダークラシック(スズキ)をディスプレイ。吉村さんは「夏は暑いし、冬は寒い、トイレもない。たぶん日本一くつろげない店ですが、その分、童心に帰って楽しんでもらえる店づくりを心がけています」と語ります。
所狭しと並ぶバリエーション豊かなアイテム
元々、「LOGOS(ロゴス)」の直営店で店長を務めていた吉村さん。奥多摩などでソロキャンプをしながらアウトドアのノウハウを培ったといいます。これまでの経験を活かして目利きしたギアは枠にとらわれない豊富なアイテムが並びます。
「せっかくなら日本ではマイナーなギアの良さを伝えたい」と、「Arnaud(アルノー)」(ベルギー)のロケットストーブ、「SCHWARZE BIENE(シュバルツェビーネ)」(ドイツ)の軽量テーブル、「Black Beard(ブラック ビアード)」(アメリカ)の着火剤など、珍しい海外ブランドも積極的に扱っています。
一つひとつのギアは壁一面に設けた棚や引き出し、天井からつり下げられて展示されています。コンパクトな店内はあっという間に一周できてしまいますが、隅々まで物色しているとおもしろい出会いがあるかもしれません。
地元ならではの魅力を伝える拠点
店には地元だけでなく県外からも多くの客が訪れるそう。「秘密基地」ならではの居心地の良さからか、1人あたりの滞在時間は1時間なら当たり前、話が弾んで最長で6時間も留まった人もいたというから驚きです。
吉村さんは「一目見ただけでは使い方や魅力がわからないものも多いので質問してもらえれば丁寧に説明するように心がけています」とし、「中でも県外の人にはなるべく地元の魅力を伝えるようにしています」と話します。
例えば、八代市には2022年夏、河川敷に無料キャンプ場「遙拝八の字広場」がオープンしたそう。ほかにも、春には桜がきれいに咲くスポットやおいしい食事処などを紹介しています。もちろん熊本県内のおすすめのフィールドやキャンプ場の情報も豊富です。
地元愛はラインナップにも表れています。熊本県の町工場発のガレージブランド「STEN FLAME(ステンフレーム)」、全国有数の海苔の産地である同県宇土産の海苔を焚き火で炙った「ABURI」など、興味をそそられます。
↓ こちらもオススメ ↓
品数1万点以上。豊富な品揃えでキャンパーを支える「Burn Freely(バーンフリーリー)」【ふらっとショップ探訪 #4】
店主のおすすめ3選
貝原バーナー製作所の「ケロシンストーブ M214-B」
福岡発の高品質、高機能なケロシンストーブ。1892年に開発された燃焼方式で希少性の高さも特徴。設計、製造、組み立てまでを一貫して行い、品質を維持しながらコンパクトなサイズ感を実現しています。
吉村さんの一言メモ
「真鍮を削り出しで見た目も美しい逸品。コンパクトなのに火力も安定しています。九州外からの問い合わせも多くて人気の高いストーブです」
フュアーハンドのヴィンテージランタン
現行品のフュアーハンドとはデザインの異なるヴィンテージランタン。現行品にはない風防や刻印があしらわれています。スタンダードモデルの約3倍の大きさのビッグタンク(左)は70時間ほど燃焼が持続します。
吉村さんの一言メモ
「現在、お店で扱っているのは1940~70年代のもので、レトロな味わいが魅力です。少しずつラインナップを増やす予定なのでお気に入りのものを探してみてはいかがでしょうか」
慶食堂の「極粒辛子」
大粒なイエローマスタードとブラウンマスタードのプチプチ触感、白ワインビネガーの程よい酸味が癖になる一品。ソーセージや魚料理、サンドイッチなどにぴったりです。
吉村さんの一言メモ
「ビネガーも酸っぱすぎないので万人におすすめできます。スパイシーで噛む度にプチプチ弾ける粒は良い味のアクセントになりますよ」
まとめ
店名に掲げるSkill of the Earthという言葉通り、ガレージには自然の中で生きるために必要な道具や考えがたくさん詰まっていました。気になる方はぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。気さくな人柄の吉村さん、飼い主に似て人懐っこい甲斐犬のアビー(メス)が歓迎してくれますよ。
「Skill of the Earth」基本情報
所在地:熊本県八代市上野町3606-2
営業時間:13:00~18:00、不定休(雨天時は休み) ※詳しくはインスタグラムにて
公式サイト:https://skillof.thebase.in/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/skill_of_the_earth/