みなさんはキャンプのギアをどう選びますか。ネットに情報があふれる時代、無数のレビューを見比べて、とりあえず無難なものを購入していた筆者。いつしか実物を手に取って選ぶ機会も少なくなりました。
そんな折、何気なく立ち寄ったのが個人経営のアウトドアショップ。選りすぐりのギアや珍しいガレージブランドなど奥深い世界が広がっていました。
ネットや量販店とは一味違う魅力を放つショップを巡る連載「ふらっとショップ探訪」。第7回は、大阪の谷町七丁目にある「山道具 谷ノ木舎」を紹介します。
↓ こちらもオススメ ↓
クライマーが営む自然とキャンパーをつなぐ拠点「NATURAL ANCHORS(ナチュラルアンカーズ)」【ふらっとショップ探訪 #2】
都会で自然を感じるショップ
2020年4月オープンした「山道具 谷ノ木舎」。主にULハイキング・ファストパッキングをコンセプトにした山道具を扱っています。元々は漢方薬店だったワンフロアを利用しており、大きなガラス扉が開放的です。
ちょうど店内から見える位置にある大きなクスノキ。地元では「クスノキさん」と呼ばれて親しまれる御神木「楠木大神」です。都会にいながら自然を感じられる風景に心が安らぎます。
豊富なUL系ギアの数々
店内には国内のUL系ブランドの先駆けとして知られる「山と道」をはじめ、UL系のギアがずらりと並びます。ザックやウェア、小物類に至るまで豊富な品揃えで、実物を見ながらじっくり購入を検討できます。
ほかにも、神奈川県逗子市の小さな平屋をアトリエにする「RIDGE MOUNTAIN GEAR」、東京は下町の自社工場を持つ「RawLow Mountain Works」などを取り揃えています。
オーナーの中川裕司さんは「日本の風土に合ったモノづくりをしている国内のガレージブランドを中心にセレクトしています」。ほかでは見ることのできない珍しいギアを求めて老若男女問わず日本各地からお客さんが訪れるそう。最近では香港や台湾、欧州など海外からの訪問も増えたといいます。
登山スタイルの一つであるULは、なるべく軽いギアを選択し、必要最小限の装備を使うことが重視されます。お店にはお客さんがギアの重さをその場で把握できるようスケールが置かれていました。
原点は山岳民族との出会い
中川さん自身も日本中の野山をULスタイルで旅するハイカー。高校を卒業してアパレル会社でしばらく働いた後、世界各地をフィルムカメラで撮影して巡る旅に出たそう。そこでチベットやカラコルムなどの山岳民族と出会い、山や自然への興味を深めていきました。
帰国後、アジアや中東各地の手仕事と結びついたアパレルメーカーを経営する中で、山と道の制作活動に関わる機会があったそう。現在は山と道HLC関西アンバサダーとして製品テストやULハイキングの実践を続けています。
オリジナルブランド「craftrails(クラフトレイルズ)」
お店には中川さんが手がけるオリジナルブランド・クラフトレイルズの品々も並びます。大量生産ではなく手仕事にスポットを当てた温かみのある製品がラインナップされています。
例えば、大阪堺で生まれた伝統工芸「注染」を使った手ぬぐい。個性的な切り絵と原色が滲み合ったような色合いはイラストレーターのほりゆりこさんによるデザインだそう。
そのほか、モンゴリアンラムの手編みのニット帽、軽量で頑丈な特殊素材「DCF」で小物入れといったこだわりのギアが用意されています。
店長のおすすめ3選
handsongrip(ハンズオングリップ)の「Hobo」
手袋の産地として有名な香川県東かがわ市で約60年の歴史を誇るハンズオングリップ。Hoboはメリノウール素材と独自形状で包み込まれるような装着感を実現。指先はタッチパネル対応で使い勝手も考慮されています。
中川店長の一言メモ
「とにかくフィット感が心地よく、サイズ展開も豊富なのが魅力です。日常生活からアウトドアまで幅広くおすすめします。」
BRING(ブリング)の「WUNDERWEAR(ワンダーウェア)」
前後リバーシブルかつジェンダーレスの珍しいアンダーウェア。素材はウールとリサイクル・ポリエステルの混合。ウールの配合率によって2タイプを用意しています。やわらかな肌触りに加え、保温性や調湿性に優れる逸品です。
中川店長の一言メモ
「最近のバージョンアップで、ウエスト部分がゴムからウールに変更され、より自然な履き心地になりました。防臭性も備えているので前後・裏表で何日も連続で使用しても快適です」
EVERNEW(エバニュー)の「BLUENOTEstove」
軽量コンパクトなサイドバーナー式のアルコールストーブ。本体とプレヒート用のプレートでわずか20gと超軽量です。高い燃焼効率を誇り、燃料15mlで約300mlのお湯を作ることができます。
中川店長の一言メモ
「とことん軽量化にこだわる人におすすめ。軽さを追求することでたどり着いた造形が美しく、ゴトクいらずで使える利便性もポイントです」
まとめ
山中さんのお店が目指しているのは自然を愛する人が集い、情報交換をしながらアウトドアカルチャーを育める場。今後はオープン当初に開催していた地図読みやアルスト制作などのイベントも徐々に再開していくそうです。
ULやガレージブランドに興味がある人はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
「山道具 谷ノ木舎」基本情報
所在地:大阪府大阪市中央区谷町7丁目1-25
営業時間:平日は12:00~19:00、土日祝日は12:00~18:00(不定休)
電話番号:06-4305-7600
公式サイト:https://craftrails.thebase.in/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/taninoki_yamadougu/