みなさんはキャンプのギアをどう選びますか。ネットに情報があふれる時代、無数のレビューを見比べて、とりあえず無難なものを購入していた筆者。いつしか実物を手に取って選ぶ機会も少なくなりました。
そんな折、何気なく立ち寄ったのが個人経営のアウトドアショップ。選りすぐりのギアや珍しいガレージブランドなど奥深い世界が広がっていました。
ネットや量販店とは一味違う魅力を放つショップを巡る連載「ふらっとショップ探訪」。第3回は、比叡山麓にて夫婦で営まれている「山道具とごはん 麓」を紹介します。
山麓で登山客らをもてなす
京都市と大津市の間にそびえる比叡山。京都側の登山口近くの住宅地に「山道具とごはん 麓」はあります。「山歩きのついでに立ち寄って一息つける場所を作りたかった」と店主の荘村健太郎さんは語ります。
2019年1月にオープン。木材を利用した店構えは暖かみのあるたたずまい。元々アトリエとして使われていた1階部分を改装し、カフェと物販の両輪で営業を続けてきました。
出入り口付近にある物販スペース、国内外から取り寄せたこだわりの山道具が並びます。
正面のドアには、五山の送り火で知られる大文字山、その左に連なる比叡山のイラストが描かれています。比叡山に限らず、大文字山を歩いた後、休憩がてらお店に足を延ばす人もいるそうです。
目からうろこだったUL(ウルトラライト)スタイル
幼い頃から外遊びが好きだったという荘村さん。高校卒業後は生まれ育った大阪を離れ、競走馬を育成する北海道の牧場で働きました。
洋服のデザインへの関心も高かったことから、大阪に戻りアパレルメーカーに勤務。朝から晩まで仕事で忙しく過ごす中、「休日に自転車ツーリングや山歩きをするのが癒やしでした」と振り返ります。
当時、頻繁に登っていたという六甲山の麓で、アウトドアショップ「Sky High Mountain Works(スカイハイマウンテンワークス)」に立ち寄った時のこと。それまでは雑誌などを参考にしながら必要以上の荷物を背負って山を歩いていた荘村さん。店主の口から初めて聞いた「UL(ウルトラライト)」というスタイルに心を奪われました。
「荷物を軽くし、身体を鍛え、より遠くまで歩くというスタイルは目からうろこでした」。
以降、ULが生まれた歴史的な背景や個性的なギアに魅了され、自身でも進んで実践するようになったそう。これまでに北アルプスや八ヶ岳、京都一周トレイル、大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)などを歩き、自分なりのULスタイルを模索してきたといいます。
作り手の意図を伝えたい
道具へのこだわりが強いという荘村さん。店で扱うギアも実際にフィールドで試したものの中からセレクトしているそう。
「新商品や流行廃りよりも使い勝手を重視しています」と話します。
ネットでの販売を検討していた時期もありますが、「作り手の気持ちのこもったギアを、その意図も含めてしっかり伝えたい」と、店頭での販売に絞っています。
元々、アパレル販売をしていた経験もあり、「お客さんとのコミュニケーションが生まれたり、作り手へのフィードバックができたりするので、対面で販売するというスタンスを貫きたい」と語ります。
店頭に並ぶギアの中には、関西ではここでしか置いていない珍しいものもあるそう。お店のSNSにアップされた商品目当てに訪れる人もいるといいます。
オーナーのおすすめ3選
Sanpos’ Fun Lite Gear(サンポズファンライトギア)の「Creep stove(クリープストーブ)」
ハンドクラフトのアルコールストーブを手掛けるジャパンブランド。
クリープストーブはコーヒー1杯分の湯沸かしができるミニマルなサイズ感。風貌とゴトクと一体となっており使い勝手のよさが魅力です。店にはほかのモデルの個性的なストーブがあります。
荘村オーナーの一言メモ
「デイキャンプや低山でのハイキングにもってこいの逸品。かなりマニアックなギアだけど、こだわり抜いて作られているのがおもしろいですね」
Kampai Gearworks(カンパイギアワークス)の「IPA」
富山県発のガレージブランドが製作する27Lのバックパック。
シンプルなロールトップタイプで、外側には4つのポケットが配置されています。
荘村オーナーの一言メモ
「軽量で丈夫な生地を使用しており耐久性は高いです。日帰りにちょうどいい容量で、底面にはポケットも備えているので利便性も高いですよ」
△suiのキャップ
京都在住の女性がハンドメイドで製作する使えるキャップ。
4サイズ展開になっており、オーダーメイドも可能です。シンプルなデザインで登山やキャンプにもおすすめです。
荘村オーナーの一言メモ
「ストレッチ性が高くて、水もよくはじき、とにかく軽いので不要な時は丸めてポケットに収納できます」
まとめ
山や自然を身近に感じる立地で営業する同店。荘村さんが選び抜いたこだわりのギアはもちろんのこと、厳選された旬の食材で作ったごはんもおすすめ。
日替わりの定食のほか、自家製のケーキやトレイルバー、オーガニックコーヒーなどメニューも豊富です。
京都市周辺の山歩きや観光のついでに立ち寄るのもいいのですが、実は同店では里山のルートを案内するハイキングイベントも開催されています。SNSで情報を発信されているので興味のある方はチェックしてみてください。
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「山道具とごはん 麓」基本情報
所在地:京都市左京区修学院茶屋ノ前町15-25
営業時間:11:30~18:00(火曜、水曜は定休)
電話番号:090-2198-0898
公式サイト:https://rokukyoto.net/index.html
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