旅の目的地はキャンプ!「BIKE&CAMP KANTOU 2022」の主催者に自転車旅の魅力を教えてもらった

公開日:2022 / 12 / 18
最終更新日:2022 / 12 / 18

秋晴れの週末、霞ヶ浦に隣接する霞ヶ浦総合公園(茨城県土浦市)にて行われた、自転車とキャンプをテーマにした旅イベント「BIKE&CAMP KANTOU2022」に参加してきました。

ここ霞ヶ浦総合公園は、以前にも「BIKELORE(バイクロア)」と言う自転車レースイベントの取材に訪れました。その際の記事はこちら

今回のイベントは、「自転車+キャンプ=旅」と言う公式が成り立つ、「旅」をテーマにしたイベントです。

自転車の旅の魅力は、車などの高速移動する乗物だと一瞬にして通過してしまう風景や人との出会い、ふれあいが楽しめる所です。

その旅の楽しさをもっと多くの人達にも伝えたい、と言う思いからこのイベントはスタートしたそうです。

実行委員長にインタビュー

BIKE&CAMP実行委員長でもあり、モデル、本執筆、アウトドア活動と幅広い分野で活躍する山下晃和さんに、お話を聞いてみました。

きっかけはネパールなど海外を自転車で旅した経験から

——BIKE&CAMPイベントの生い立ちを教えてください。

山下さん
BIKE&CAMPは海外を自転車で走った実行委員長の私、山下晃和と副実行委員長の沖本真が、その土地の文化、人、物、景色に感銘を受けて、もっと自転車で旅をする人を増やしたいという思いから2017年の夏に発足しました。

自転車で旅をすると、観光名所だけでなく、途中の道も走らざるをえません。ところが、そのような名も無い村にたどり着いたときにこそ、その国の本質的な、純度の高い文化や民族に出会ったのです。

日本での自転車といえば、通勤通学や買い物といった日常生活の移動手段として使っている方を数多く目にしますよね。また、スポーツ自転車の愛好者は、レースやロングライドを楽しむ人、他には健康を考えての趣味、という人が多い印象です。自転車を旅の移動手段として考える人は少ないと感じていました。

旅としての自転車、キャンプやアウトドアフィールドに連れて行ってくれる相棒という認識が無かったので、旅の相棒としての自転車を発信する為にイベントを立ち上げました。

——イベントに参加される方に、1番伝えたい事は?

 山下さん
とにかく経験してもらいたいのは「旅」です。旅の目的地として、キャンプ地としてBIKE&CAMPに来てもらいたいです。出展メーカー、試乗、飲食店はそれに付随する旅のスペシャルなエクスペリエンスではありますが、旅の計画または準備、旅の途中の景色、そして、家に帰ってきてから仲間や家族に旅の話をする時間までを大切にしてもらいたいと願っています。1度で3度美味しい「旅」となっています。

——チャリティーオークションも行われるようですね?

山下さん
はい。2018年からヘルメットのレンタル代、夜の焚き火トークショーでのチャリティーオークションの全売上を、NPO法人「海外に子ども用車椅子を送る会」へ寄付しています。

自転車乗りは車椅子を直せるので(パーツが同じ)ボランティア活動に参加してもらいたいのが目的の一つです。世界ナンバー1クオリティの日本製の車椅子を再利用できるうえに、障害のある海外の子ども達が活躍できるチャンスを広げるお手伝いになります。

BIKE&CAMPのイベントに参加しただけで社会貢献に繋がるため、今後もサポートしていくつもりです。

——BIKE&CAMPは「同じ場所で3回開催したら卒業」と聞きましたが、詳しく教えてください。

山下さん
我々のイベントは1回目が導入、2回目がチャレンジ、3回目が応用となっています。学校でいう3年間と同じで、BIKE&CAMPに参加してもらった経験やイベント内で習ったワークショップ、ゲストのトークショーでのリアルな旅話を聞くことで、自分の力で自転車キャンプができるようになります。つまり、3回参加していたら勝手に学べているような構成にしています。

イベントに参加するだけで終わるのではなく、参加者自身でも自転車キャンプツーリングに出ていただき、多くの旅の経験をしてもらいたいと考えています。

今回の霞ヶ浦でのイベントが開催3回目という事で、惜しくも卒業になるそう。卒業式に相応しく、出店ブースも充実しており、試乗コースではショップやメーカーの自転車に試乗も可能です。

地元の食材やグルメ、お酒も楽しむことができ、まさに旅での楽しさが凝縮されていました。

卒業は焚き火を囲んでのトークショー

今回は特別に指定されたエリアにて、事前申込者のキャンプ宿泊も可能でした。

筆者も折角なので、ソロキャンプエリアにてキャンプ泊させて頂き、焚き火イベントも楽しませて頂きました。

焚き火イベントでは、イラストレーターであり女子キャンプ発起人のこいしゆうかさんをゲストに、自転車キャンプをテーマにした楽しいトークショーや、チャリティーオークションも開催されました。

今回、3年目の卒業に相応しい、旅を体感できるイベントでした!

出展ブースから気になるテントを紹介!

「自転車+キャンプ」を実現させる為には、やはりコンパクトで軽量なテントが必要不可欠です。旅としてのキャンプと考えると、標高の高い場所より平地でのキャンプがメインになるでしょう。

そうなると湿気や結露対策の点で、シングルウォールではなくダブルウォールのテントを選んだ方が快適です。

会場には様々なアウトドアメーカーが出店しておりましたが、その中から筆者が気になったテントをピックアップいたします。

NEMO ドラゴンフライ バイクパック 2P

自転車への積載を考慮し、メインポール収納時の長さを短く設計したテント。

本年度は1人用モデルが日本未入荷との事ですが、このコンパクトさなら2人用モデルでもソロ用として使えます。むしろ、広く使えるなどメリットの方が多いかもしれません。

66,000円(税込)という価格は、入門者にとっては敷居が高く感じられますが、最新の素材を使用したテントとしては納得できるアイテムです。

前室には、雨にも濡れにくい専用設計の荷物入れがあり、大切なギアなどを収納しておけます。まさに「痒い所に手が届く」使い勝手の良いテントだと感じました。

NEMOでは現在新素材を独自に開発中とのこと。今後も目が離せませんね!

NEMOブランドを日本で取り扱うのは株式会社イワタニ。trangia(トランギア)やPRIMUS(プリムス)などを取り扱っています。BIKE&CAMPにもブース出展していました。

ZEROGRAM ALL NEW El Chalten Pro 1.5P

韓国発のアウトドアブランド、ZEROGRAM(ゼログラム)。

フライ、インナー、グランドシートまで一体になっているので、楽に設営ができると評判のテントです。

モノフィラメントと呼ばれる素材でできたインナーテントは、結露での不快感を解決してくれます。

79,200円(税込)と言う価格は、高額テントの部類に入ってきますが、設営撤収のしやすさや品質の高さは間違いありません。

空気で膨らむソロテント!UPON


KUWAHARA(クワハラ)と言えば、映画ETに登場したBMXメーカーとして有名ですが、自転車キャンプに最適なテントも取り扱っています。

テント設営に必要不可欠なポールを、空気で膨らませる支柱に置き換えることで、より軽量&コンパクトなテントになっています。

ポールによる収納の長さ制限がない為、自転車へのパッキングがしやすいですよ。

非自立型テントですが、この軽量・コンパクトさはかなりの魅力です。

44,000円(税込)と比較的リーズナブルな価格も、嬉しいですね。

自転車キャンプに役立つギア紹介

積載の強い味方!サイクルトレーラー

自転車ソロキャンプは、荷物を最小限に削ぎ落とす、ストイックな面があります。それは多くのギアをキャンプサイトに持ち込むかのような現在のキャンプのトレンドとは真逆の方向性です。

一方で、自転車キャンプで多くのギアを持ち込みたい!となった時に、活躍するのがサイクルトレーラーです。

これまで日本で手に入るサイクルトレーラーは、日本の道路事情に合わせたメーカーのものはほとんどありませんでした。

そんな中、チャイルドシートを展開するOGK技研より、Camily(キャミリー)というサイクルトレーラーが発売されました!

元々は子どもを乗せた自転車の積載用に開発されたそうですが、自転車キャンプにも応用できるアイテムです。

今のところトレーラーのジョイントは荷台のみですが、今後荷台のない自転車でも、シートピラーなどにジョイントできるアダプターを開発中なんだそうです。自転車キャンパーにとって選択肢が増えそうで要注目です。

日本発の携帯工具デビュー!サーディン

バイクパッキングの第一人者でもあるオルタナティブバイシクルズの北澤社長が、3年の開発期間を費やして製品化した自転車用携帯工具サーディン!

自転車での旅を知り尽くした男が、MONORAL(モノラル)の角南社長の協力のもと完成させた、理想の携帯工具です。

軽量(38g)でコンパクト。従来の携帯工具と違い、スティック形状で早回しとトルク回しが差し替え可能という、使い勝手の良さにもこだわりました。

展示コーナーでは、北澤社長と角南社長の開発秘話トークショーで盛り上がっておりました。

焚き火台だけじゃない!チタン製自転車フレームも

前述した角南社長のモノラルと言えば、キャンパーにとっては人気焚き火台のアウトドアブランドとしてお馴染みです。

そんなモノラルですが、「MONORAL BIKES」としてチタン製のMTBフレームも作っています。

耐久性が高く、錆びず、軽量でもあるチタンは、自転車フレームとしてもバネ感を活かせる最適な素材ということでした。

まとめ

自転車で旅をする。自転車でキャンプをする。自転車という「手段」で、キャンプと言う「目的地」に至る「過程」を旅と言うのかもしれません。

今回、筆者も東京より自転車&電車(輪行)ソロキャンプと言うスタイルで、霞ヶ浦まで取材に行ってみました。確かに、車で移動する以上に、気づいたもの、出会えた事があったと思います。

そんな事に気付かせてくれる、とても奥の深いイベントでした。

東京から霞ヶ浦りんりんロードへの、自転車輪行ソロキャンプ旅の模様は、次の記事で紹介いたしますので、お楽しみに!

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森山 敦士

目黒区在住の1児の父。
事業経営をしつつ兼業主夫として、子育てや各種ボランティアなどにも携わる。息子が大人になる時、より良い社会にする為に、社会人の働き方や人生のマネージメント相談にのったりもしています。

小さなオープンカーに荷物を積み込んで、息子と二人でキャンプやカヤック、BMXやMTBなど、アウトドアを駆け回るアラフィフです。

Facebook:https://www.facebook.com/atsushi.moriyama.7

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