京都発のUL系ガレージブランド「MINIMALIGHT」の魅力に迫る

公開日:2024 / 03 / 06
最終更新日:2024 / 03 / 06

京都を拠点とするガレージブランド「MINIMALIGHT(ミニマライト)」。無駄のないミニマルなデザインにしっかりと機能性を備えた山道具を手がけ、アウトドアから日常使いまでシーンを問わずに活躍します。

ブランドの根幹に据えるのは、「最低限の要素から、最大限の軽さと使いやすさを引き出す」というコンセプト。看板商品ともいえるコンパクトな山用財布「PLAY WALLET(プレイ ウォレット)」をはじめ、UL(ウルトラライト)の系譜を継ぐギアを生み出し続けています。

今回は、京都にある工房を訪問。代表の羽地慎吾さん(42)に、ブランドの成り立ちやアイデアの源泉、プロダクトデザインにかける思いを聞いてきました。

ガレージブランド・ミニマライトとは?


2016年にスタートしたミニマライト。京都を拠点に、財布やザック、サコッシュ、ハットのほか、木製のカップやプレートなど幅広いギアを制作。現在は、京都市左京区の美術学校跡地をリノベーションした建物の一角に工房を構えています。


羽地さんは沖縄県那覇市出身。琉球大学、桑沢デザイン研究所を卒業後、東京のデザイン事務所を経て、関西の掃除道具メーカーに転職。企画から設計、製造に至るまで全工程に携わりました。一方で、製品化の段階でデザインが変更されるなど、自分の考えを反映できない部分に歯がゆさも感じていたそう。


同じころ、趣味で山歩きにハマったという羽地さん。「山らしい山がない沖縄で生まれ育ったので、山への憧れのようなものがありました」と話します。はじめのうちは既製品の山道具を使っていたものの、山を歩きながら「こうすればもっと使いやすいのでは」と考えるように。そうして仕事の息抜きを兼ねて自分用に作ったのが軽量コンパクトな財布。これがミニマライトの原点となるPLAY WALLETとなりました。

原点となった「PLAY WALLET」


「登山中はいつも新しいギアやデザインのことを考えています。もうプロダクトデザイナーの職業病のようなものですね。あれは六甲山を歩いていた時だったと思います。不意に山行き用の財布のアイデアが浮かんできました」。

財布に入れるものと言えば、「お札・コイン・カード」。お札は折りたためば小さく収納ができます。となると、どんなに小さく設計してもカードのサイズが限界になります。ここで羽地さんは、お札を三つ折りにするとカードとほぼ同じサイズになることに注目。紙とテープで試作品を作り、最終的に約6cm×9.5cmという最小サイズの財布が完成しました。


お札は三つ折りの状態で収納し、小銭入れは裏面に外付け。カードは中央のゴムで挟むスタイルで1~10枚まで対応。アクセントとなっているフックはザックやポケットから取り出す時に便利。素材は軽くて強度の高いX-PACを採用し、重さはわずか16gとなっています。


こちらは日常や仕事でも使いやすいレザーバージョン。通常のものからループを省き、カードを挟むゴムを「レザー・スナップボタン」に変更。使いやすさはそのままに、よりシンプルで洗練された印象にまとまっています。使うほどに自分に馴染み、経年変化も楽しめます。

ULの考えへの共感から生まれるデザイン


PLAY WALLETからはじまったミニマライトのものづくり。ブランド設立から7年以上となる今も一貫しているのが、装備の軽量化を目指すULスタイルです。羽地さんは「自分は体格や筋力に恵まれている方ではありません。それでも、必要最小限の装備に絞り、軽さを追求することで、体力の消耗を抑え、より長く行動することも可能になります」と話します。

ミニマライトのプロダクトには、そんなULの思想が随所に反映されています。羽地さんは、ザックに必要最小限の装備を詰め込むように、各プロダクトごとに必要な要素を突き詰めて考えます。その結果、軽くてシンプルでありながら、道具として使いやすいギアが生まれます。

ここでは数多くのアイテムから2つを紹介します。

絶妙なサイズ感のサコッシュ的なポーチ「MESSE POUCH」

山と高原地図と500mlのペットボトルが収まるサイズのポーチ。メッセンジャーバッグからフラップを無くし、ポーチサイズに小さくしたようなデザイン。1気室にキーフック1つを設けただけのシンプルな構造となっています。

生地にはX-PACを使用。防水生地と止水ファスナーである程度の雨なら対応します。ショルダーの長さは左右どちらもで調整でき、片方はバックル式で着脱も可能。ザックやカメラを背負っている時のつけ外しに便利です。

山でも街でも、日常を彩るザック「ORDINARY PAC」

「山も日常、街も日常」をコンセプトにした容量17Lのザック。13Lのメイン収納は上部ファスナー開閉で、内部は背面パットのポケットのみ。フロントポケット2L、サイドポケット1L×2というシンプルな構造。日帰り登山に必要な機能を持ちながら街でも使いやすい逸品です。


背負った外観もミニマルな印象で街中でも馴染むデザイン。メイン収納には13インチのノートPCをケースに入れたまま収納できるので普段使いにも重宝します。

まとめ


ミニマライトは、地元アウトドアショップ「山道具とごはん 麓」と連携し、大文字山の地図にはないルート歩きイベント「 kuh(KYOTO URAYAMA HIKING)」も実施しています。さらに2024年春頃には腹巻きやパンツなどの新たな商品も発売予定。今後の展開にも目が離せません。気になる人はぜひチェックしてみてください。

「MINIMALIGHT」基本情報

公式ホームページ:http://minimalight.info/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/minimalight_insta/
公式X:https://twitter.com/minimalight
kuhインスタグラム:https://www.instagram.com/kuh_kyoto/

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ブッシュトモロー

アウトドアライター。新聞記者を経てフリーに転身。アウトドア業界や野外活動の現場で取材執筆に携わる。主に夏は登山、冬は狩猟という生活スタイルで、ネタと獲物を日々追っている。
Twitter:@bush_tomoro

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