【注意喚起】冬キャンプに潜む大きなリスク(火災・一酸化炭素中毒)を忘れていませんか

公開日:2020 / 01 / 10
最終更新日:2020 / 01 / 20

「石油ストーブも薪ストーブも、みんな使っているし大丈夫」と思っていませんか?

実際にあった事故の例も踏まえて、今一度そのリスクを認識しましょう。

屋内で使えるのにテントはなぜNG?石油ストーブの危険

テント内で燃焼系のギアを使用することは、事故防止のため(一部例外を除いて)各メーカーが禁止しています。

主な事故としてあげられているのが火災と一酸化炭素中毒

テントは布(綿や化繊)でできているので、一度火が付くとすぐに燃え広がってしまいます。

特に冬場は、テント内を暖かく保つために敷物などの可燃物が増えるので、火災の危険が増えることは言うまでもありません。

そして雨や風から身を守るために気密性を高めたテントの中では、一酸化炭素中毒を引き起こす可能性が十分にあるのです。

隙間風だらけのテントで一酸化炭素中毒!?


日本ガス石油機器工業会のデータによると、2.5kwのレインボーストーブを使用する場合、1時間に1回大きく窓を開けて2~3分間の空気の入れ替えをするか、常時2cm程度窓を開けておけば、換気は十分ということになるようです。


出典:日本ガス石油機器工業会

数値だけを一見すると、隙間だらけのテントで一酸化炭素中毒などは起きないような気がしてしまいますが、これはあくまでも屋内でストーブを使用する場合のデータ。

風や雨、雪などの気象条件による不完全燃焼や換気不足、地面の傾斜や草地での吸気不全によって一酸化炭素が発生してしまうことがあるかもしれません。

野外には屋内とは違い安定した条件がないことを認識し、常に危険があるということも忘れてはいけません。

一酸化炭素中毒の実例:キャノピー全開でも換気不足!?

2019年11月に日本小児科学会の傷害速報で発表された事故があります。この時に使用していたのは炭火のBBQコンロですので、一酸化炭素の発生量に関してはストーブとは大きな違いがあるかもしれません。ですが、この事故で注目していただきたいのは、その使用環境です。

出典:日本小児科学会の傷害速報より

BBQコンロはテント入口のキャノピー部分で使用していたので、11月ということもあり、テント内のインフレータは開けていませんでした。お腹がいっぱいになった後、(BBQコンロは外に出したまま)寒いので4人はテントの中に入ります。

両親はリビング部分に残り、子ども達2人が先にインナーテントに入ったところ、頭痛を訴え始め、数分後には一酸化炭素中毒で意識を失ってしまいます。この時、各出入り口は30cm程換気口が開いていたそうです。

この事故で教訓となるのは、「万が一、何らかの理由でストーブが一酸化炭素を放出してしまった場合、キャノピーが全開になっている程度では空気が入れ替わらず、一酸化炭素中毒が発生してしまうことがある」ということです。

ストーブの位置や風向きによっては、テントの一部分に一酸化炭素が溜まってしまう可能性も十分にあるということ。

石油ストーブだけでなく、薪ストーブでも煙突の不具合や、薪の状態によって一酸化炭素が発生します。

一酸化炭素アラームを使用したとしても、絶対に安全とは言い切れないことを知っておくべきです。

子どもの致死量は大人の1/2


一酸化炭素が発生した場合、子どもは基礎代謝率が良いので、同じ条件下でも一酸化炭素中毒になりやすいそうです。
※参照:日本小児科学会の傷害速報より

大人の場合、一酸化炭素の血中濃度が10-20%で頭痛、20-40%で目眩が起こり、50-60%で昏睡・痙攣が発生、70%以上で死に至るそうですが、子どもの場合は7%で頭痛が起き始め、25%で昏睡に至ってしまう。

大人が「あれ?なんだか頭が痛いな。そういえば目眩がする…。」と感じた頃には、お子さんは既に昏睡状態。そう思うと、本当に怖いですよね。

火災の実例:火に触れなくても火事になる!?

体験談を話してくれたのは、ひのきのキャンプ用品専門店196の店長:佐藤さん

3年前の3月。

コットンテントのシブレー500にいつも通り薪ストーブを入れ、1泊2日のキャンプを楽しんでいました。
美味しいご飯とお酒を堪能して眠りにつき、迎えた2日目の朝に事件が起こります。

シブレーが炎上……。

煙突や本体に触れていたわけではなかったのですが、煙突の温度が上がり過ぎたため木製の煙突ガードから炎が上がってしまったそうです。

木材が自然発火する温度は450度程度(参照:消防庁消防大学校消防研究センターより)ですが、長時間煙突の熱にさらされていたため、板が炭化してしまったんですね。炭化した板は低い温度で加熱しても発火してしまう場合があるそうです。

幸いこの時には火を消し止めることができ、大惨事にはならなかったそうですが……出火の状況やテントの種類によっては、あっという間に大炎上していたかもしれません。

正しいメンテナンス、できていますか?


小さい頃からマンションに住んでいた方の中には、石油ストーブの使用が禁止されていた例も多いので、季節終わりのメンテナンスをしたことがない方も多いと思います。かくいう私も父任せで、自分でしたことはありませんでした。

燃料の種類にかかわらずどのストーブも、メンテナンスを誤ると不完全燃焼をおこし一酸化炭素を発生させてしまう危険があります。

また、最近はキャンプ場で薪不足が発生しているところもあると聞きました。乾ききっていない薪は不完全燃焼を起こし、煙突火災の危険も高くなります。

石油ストーブも薪ストーブも、「みんなが使っているから大丈夫」ということはありません。

SNSの投稿の中には、狭いドーム型テントの中で石油ストーブを使用している大変危険な例も見られます。

冬の間はキャンピングカーやコテージでキャンプを楽しんでも良いわけですし、リスクや無理のない安全なキャンプを楽しんで欲しいと思います。

Campeena 安井 直子

整理収納アドバイザーとして働くかたわら、母と子のためのアウトドアイベントCampeenaを主宰し、乳幼児連れのファミリーキャンプデビューをサポートする活動をしている。自身も3児の母。日本オートキャンプ協会公認インストラクター。

Campeenaブログ:http://campeena.com

「別冊ランドネvol.3親子でアウトドア」(枻出版社)に掲載
「母と子のためのハイキング&キャンプ」(地球丸)キャンプ同行、掲載
「LDK2017年6月号」アウトドア(公園デビュー用品)監修

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