アクティブ派にハマる究極のソロ焚き火台「ソロバンファイヤー」! 超軽量&コンパクトで焚き火も料理もこれ一台

公開日:2023 / 08 / 13
最終更新日:2024 / 04 / 15

ソロ用の焚き火台はずっとこれでいい。いや、もうこれでないとダメだ。そう思わせてくれる逸品についに巡り合いました。まだ使い始めて1年弱ですが、すでに体の一部になったといっても過言ではありません。

その焚き火台というのが、国内ガレージブランド・野鋭具兵学校の「79式算盤火床」(略称:ソロバンファイヤー)。軽さ、デザイン、使い勝手どれをとっても文句の付けようのない仕上がりです。

こんなに褒めちぎっておきながら、やや癖が強いというのもまた事実。「アクティブ派の実戦用焚き火台」を謳うだけに、そのポテンシャルを最大限に引き出せるかは持ち主次第。そんな、ハマる人にはハマるマニアックな焚き火台の魅力を紹介します。

アクティブなアウトドアマンの理想を形に

無駄をそぎ落としたミニマルなたたずまいの焚き火台。正式名称は「79式算盤火床 単型 ソロバンファイヤー アルティメット」といいます。その独特のネーミングは、算盤(ソロバン)とSOLO(単独)を掛け合わせた「SOLO BURN FIRE」が由来だそう。直訳すると”一人で燃やす火”となり、まさにソロ用の焚き火台であることを表しています。

生みの親は、ガレージブランド・野鋭具兵学校を手がけるkentarouさん。YouTubeでは「Kentarou In The Woods」としてアウトドア関連の動画を発信されています。単独で山に分け入って、MTBで駆け回ったり、カヌーで海や川を旅したり。自然体でアウトドアを楽しむ「爽快」な動画の数々は、ついつい何度も視聴してしまう独特の雰囲気があります。

そんなkentarouさんのこだわりを色濃く反映しているのがソロバンファイヤー。野外でアクティブに活動しながら手軽に焚き火を楽しむにはどうすればいいのか?考え抜かれた末にたどり着いたのがこの形。一度フィールドで使えばほかの焚き火台には戻れない魅力を秘めています。

超軽量&コンパクトで携帯性抜群!

アウトドアにおいて軽さは正義。世の中に数ある焚き火台の中でも、ソロバンファイヤーはトップクラスで軽量です。重量はフレームが83g、火床が104gで、合計してもたったの187g。筆者が所有している旧型のメッシュ構造の火床はさらに軽く、実測すると140gしかありませんでした。

ちなみに、フレームの設計はそのままに、火床は何度かリニューアルされています。現行は笹船のような形状の「笹船火床」で、より長く安定した火力が得られるそう。さらにサイドを転回するとアルストの風防兼五徳になるギミックも追加されています。

収納する際は、フレームを折りたたみ、火床と重ねるだけ。仕舞い寸法はA4以下と非常にコンパクトになります。持ち運ぶにも邪魔にならないサイズなので、アウトドアに興じる時には必ずバックパックに忍ばせています。

オプションが豊富なのも特徴で、展開すればチェアになるハードケースなども用意されています。筆者は本体のみ購入したので、asobito(アソビト)からリリースされている防水帆布のケースで代用。Mサイズが思いのほかジャストフィットでした。

緻密な手仕事による軽さと強度の共存

軽さを追求すれば気になるのが強度。そのフレームは見るからに細く、あまりにも軽いので大きな負荷をかけると良くないのでは…と思いたくなるほど。しかし、そんな事は杞憂に過ぎませんでした。

ソロバンファイヤーは、軽さと強度のトレードオフをものともしない、非常に挑戦的な焚き火台といえます。薄肉フレームで剛性を保ちつつ、特に負荷のかかる部分には二重構造を施すという徹底ぶり。緻密な設計と高精度の加工で作り出される、もはや”工芸品”の域に達するほどの完成度を誇ります。

これまでに筆者は幾度となくフィールドに持ち出し、太めの薪で焚き火をしたり、飯盒炊飯をしたりと酷使してきました。それでも故障や不具合は一切ありません。確かな技術に裏打ちされた信頼感が、この焚き火台にはあります。

念のため注意しておきたいのは「ソロ用」であるということ。実際のところ、総重量6kgを積載して耐久性テストを行っても、特に変形や異常はないほどに頑丈であることは確認されています。

ただ、ファミリーキャンプで用いるような大型のダッチオーブンの使用などは想定されていません。あくまでもアクティブに行動する過程で焚き火を楽しむ、というが基本的なコンセプトであることをお忘れなく。

数秒あれば展開・撤収が完結

ソロバンファイヤーはフレームと火床のみで構成されています。いざフィールドで使うとなれば、ものの数秒あれば展開・撤収が可能。ちょっと焚き火をしたい時にサッと取り出してすぐに使えるのはうれしい限りです。

使う手順はいたって簡単。両手でフレームの端をつかんで展開し、火床を少し曲げてセットすればOK。スムーズに行うには多少のコツをつかむ必要はありますが、慣れれば目をつぶってでもできるようになります。

他メーカーでも探せば同じような軽さ、サイズ感の焚き火台があるにはあります。ただ、パーツが複数に分かれていることが多く、現場で組み立てる必要が出てきます。これを儀式的な楽しみとして受け入れられるか、煩わしい作業として面倒に感じるかは人それぞれです。

後者のようなタイプの人なら、迷わずソロバンファイヤーをおすすめします。むしろ、そこまでしてでも効率化を図って行動時間を確保したい、というニッチなユーザーの手元にあってこそ、真の実力をフルに発揮させられるはずです。

可動式の五徳で調理もはかどる

ソロバンファイヤーが算盤(ソロバン)たる所以となっているのが可動式の五徳(ゴトク)。まるで算盤の珠をスライドさせるようにして自由に動かせるのが特徴です。これが想像以上に使いやすく、クッカーのサイズに合わせて調整するのにも役立ちます。

焚き火台の中には五徳が別になっているタイプもありますが、一体になっていれば安定感が増し、紛失するリスクもなくなります。調理をしない時には五徳を跳ね上げて下ろしておけば邪魔にならず、焚き火にだけ集中することができます。

初期の状態では五徳は3本備わっていました。五徳は後から単体で買い足して増やしたり、余分な分を減らしたりしてカスタムすることも可能。筆者は3本でちょうどよい塩梅なのでそのまま使っていますが、消耗したら取り寄せて交換できるのは安心感があります。

フィールドで使い倒してこそ輝く名品

一見するとシンプルな構造ながら、細部までこだわりの詰まったソロバンファイヤー。作り手の設計思想をくみ取り、フィールドで使い倒してこそ初めて真価を発揮する名品です。ここまで惚れ込む焚き火台は、後にも先にも無いような気がします。

今回紹介したのは「単独型(アルティメット)」ですが、「拡張型(ブースト)」もラインナップされています。2人で行動するケースや調理スペースを確保したい人は検討してもいいかもしれません。

kentarouさんの制作にかける思いや現場での活用実例は、野鋭具兵学校の公式ホームページ(https://thefildsensitiveacademy.myshopify.com/)やYouTube「Kentarou In The Woods」(https://www.youtube.com/c/KentarouInTheWoods)でも詳しく紹介されています。気になる人はぜひチェックしてみてください。

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ブッシュトモロー

アウトドアライター。新聞記者を経てフリーに転身。アウトドア業界や野外活動の現場で取材執筆に携わる。主に夏は登山、冬は狩猟という生活スタイルで、ネタと獲物を日々追っている。
Twitter:@bush_tomoro

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